#日記 Day5

午前三時、姉が働くお店から電話がかかってきた。
内容は、過呼吸になったので迎えに来てほしい、との事だった。
よくあることなのだが、やはり、私も苦しくなる。
過去の情景を思い出し、前頭葉あたりが熱を帯びてくる。
現地についてすぐ腰を90度に曲げ深く謝罪した。
別にそんな事は構わないのだが、その姿を見る、人の目があまり好きではなかった。
姉を心配しているのではなく、そのあとの苦労を憂いている、そんな目だった。
一通り謝罪をした後、タクシーを呼び、姉の声にならない言葉に耳を傾けながら帰路につく。
段々と落ち着きを取り戻し始めた姉は、私にこう、言う。
「ごめんね」
そんな言葉を聞きたいわけではない。
と言いたくなるが、人はこういう時、謝罪以外の言葉を持ち合わせていないのかもしれない。
だから、私も、こう、言葉にする。
「いいや、こちらこそごめん。」
蟠りを生む言葉が、心の中をじくじくと、浸食していくのがわかる。
そして姉もまた、下を向き目を伏せている。
やはり、文字に声を乗せて謳う言葉が嫌いだ。
これからも、言葉、言霊に殉じ、怨んでいく事を再認識した日であった。