#日記 Day8

酩酊した姉の彼氏がリビングで吐瀉物を撒き散らしたらしい。
らしいというのはその時は、寝惚けていて度々聞こえてくる情報群から推察したにすぎないからだ。
隣りの部屋からは彼氏の陳謝が鬱陶しい程、繰り返されている。
只今午前三時、きっと、朝に嫌われている私の起床は相変わらずだった。
それにしても、嘔吐するまで泥酔してみたいものである。
いや、アルコールの様な、人を惑わす魔性な何かを欲しているだけなのかもしれない。
私の場合、恬淡寡欲という訳ではなく、アルコールをいくら摂取してもただ少し脳がぼんやりと虚ろになり胃酸がせりあがるだけなのである。
何故、皆が理性を放棄し、気狂いになるのか不思議でならない。
代用品があるのであれば教えてほしい。法の範囲内であれば使用してみたい。
素面ではいられないほど、この世界は整いすぎている。
絶対的で変化のしようがない。だから私が歪むしかないのだ。